チョリンの日記

思い立ったが吉日

レクイエム

幼馴染の友人が末期ガンで長くないらしい。別の幼馴染からそんな連絡がきた。本人とはつい2ヶ月ほど前に何年かぶりのLINEのやりとりがあったばかりだが、その時は何も言っていなかったので驚いた。そういえばあの時、『元気にしてますか?』なんて言ってたな。普段そんなこと言わないのでちょっと気にはなっていたのだが…

 

だいぶ前の話になるが、やはり幼馴染で一つ歳上の先輩を白血病で亡くしてる。亡くなった後に連絡を受けて、よくよく聞いてみると連絡してきた奴は入院中お見舞いに行ってたらしい。もっと早く教えてくれたら生きているうちに会えたのにと、その連絡してきた奴のことをずっと恨んでた。今この状況になって、死期が迫りつつある友人にどんな顔して会えばいいのかわからない。ほんの少しだけ、恨んでた奴を許す気持ちになった。結局のところ新型コロナ感染は100%アウトらしいので、このまま会わずにお別れすることになりそうなのだが。

 

余命が気になったので『あとどれくらい生きられそう?』と直接本人に聞いてみたら、『ダイレクトに聞かれたの初めてだけど、そう長くない。』という返事。少なくとも年単位じゃないらしい。そこからしばらく言葉を失ってしまったが、誰も本人に確認しないまま "長くないらしい" という噂が広がってたのかと思って腹が立ってきた。当の本人が医療従事者ということもあったので聞いてみたのだけれど、皆んなデリカシーがないとか思われたくないから聞かないのかな? 確かめもせずに噂が広がることの方が良くない気がするのは自分だけなのだろうか。

 

「人間に課せられた唯一の義務は自分自身であること」その言葉を手向けて締めくくった。『最後まで自分らしくいてください』と。すると、できる範囲でゴルフをやって温泉を楽しむとの返事。アイツらしいと思って少し安心した。

 

幼馴染ではあるが、高校生くらいからはほとんど交流がなかった程度の仲だった。それでも何十年ぶりかで再会したときは遠慮なく何でも言い合える奴だった。「ありがとう」とか「さよなら」とか別れを連想させる言葉は使わなかったが、たぶんこれが最後のやり取りだとお互いに解っていると思う。寂しい気持ちはもちろんあるが、最後に少し安心できて良かった。あとは… 、痛くないことを祈ってるよ。