チョリンの日記

思い立ったが吉日

電話に出る?出ない?

先輩との世間話の中で変な事を思い出した。その前日、先輩が帰宅途中に奥さんから電話がかかってきたという。運転中でBluetoothイヤホンを接続していなかったことと、家も近かったので電話に出なかったそうだ。帰宅後にかけ直すと、電話した時は奥さんも車で信号待ちしてて目の前にいたらしい。パッシングしたりクラクションを鳴らしたが気付かなかったんだとか。そんな話をしながら先輩は笑っている。ただそれだけの話なのだが、昔のことを思い出して笑えない自分がいた。

 

結婚してしばらくして、仕事中に奥さんから電話がかかってきたことがある。彼女も同じ職場で働いていたが滅多に電話なんかかけてこない。間もなく客先に到着するタイミングだったが、気になったので電話に出てその旨を伝えてすぐに切った。すると、家に帰ると奥さんの機嫌が悪い。「話す時間が無いなら電話に出るなよ」と言われた。

 

先輩のように電話に出なければ良かったのかもしれないが、こっちとしては『何かあったのか?』と心配になって電話に出たのだ。それが気に食わなかったらしい。むしろ『忙しいのに電話に出てやった』ぐらいのつもりだったのでちょっとショックだった。それをキッカケに考え方の溝は深まり、やがて離婚に至る。いわゆる価値観の違いというやつか。どちらにも非はないようにも思えるし、こちらがもう少し気を遣えば良かったような気もしないでもない。

 

離婚後数年経って仕事中に大きな事故を起こしてしまった。その頃には彼女は退職していたが、どこで話を聞きつけたのかわざわざ会社に電話してきたらしい。心配してかけてきたのかと思いきや、仲の良かった事務員に「アイツやったんだって?」と嬉しそうに尋ねたという。その話を俺に報告する事務員もどうかと思うが、それを聞いて別れて良かったんだとつくづく思った。

 

人の価値観なんて違って当たり前だ。また、それを見抜けなかった自分も情けないとは思う。しかし、一度は信頼し合って一緒になった仲なのに。たった一本のタイミングが悪い電話から、あまりにも後味が悪い結末となった。それ以来、微妙なタイミングで着信があると今だにドキッとする。電話に出るときは勇気が必要になってしまったよ。出ないと決めるにもまた…